レジェンドストーリー

STORY.61
2015年下半期レジェンドストーリー金賞O.T
平成27年10月度 ASA豊田北口

その日は、あらかじめ朝日新聞のお試し読みをしていただいているお客様を訪問し、ご購読のご案内をする仕事の日でした。

あるお宅を訪問するとご主人が出てこられました。そのお宅では長年読売新聞を購読されているとのことです。
私が今回のお試し読みのお礼を申し上げると、ご主人は『朝日は絶対にとらないよ、朝日新聞って聞くだけで頭にくるし、販売店も燃やしたいくらいだよ!!』とびっくりするきつい一言。私がその理由をお伺いすると、現在は定年を迎えられたとのことでしたが、ご勤務されていた会社のことを朝日新聞に色々と記事にされたことで、ひどい目にあい、それ以来恨んでいるし、とってない。とのことでした。私は、それではさすがに無理かなぁと思いながらも、ご主人は私のことは悪く思っていない様子で、今の新聞の書き方などについて熱心にお話しいただきました。私は、お話を伺いながら、何か突破口はないものかと考えていました。すると今度は、安保のことや、今の政権のこと、それに対しての新聞の書き方の話題になったので、私はすかさず、前に他紙の書き方が気に入らなくて朝日に交代していただいたお客様の話をすると、『そうなんだよ、最近実は読売も書き方が気に入っているわけではないので、そのうち何かに変えてもいいんだよなぁ』とおっしゃいます。私は『それでしたら、恨んでいるかもしれませんが、たまには朝日を読んでいただきたいです』とお伝えすると、ご主人は『読売も駄目だけど朝日もやっぱり恨んでいるし、まぁでも昔のことだからそこまで言うなら検討してみてもいいよ』と色々話してすっきりされたのか、前向きな返答が返ってきました。ただ『絶対に今日の今日決めたり、契約したりはしないからな』と家の中に入ろうとするご主人。私は、やっぱりこのご主人を相手に即決は無理なのかなと半ばあきらめかけていました。するとご主人は『うちにはペットがいるから中に入れてやれなくて悪かったなぁ、気をつけて帰れよ』とおっしゃいました。私は次の瞬間とっさに『うちにもペットがいて犬も猫も大好きなんですよ!』と言っていました。するとそれを聞いたご主人は家の中に入ろうとする足を止め、突然振り返ると『おお、そうか、どんなペットが何匹いるんだ?』と再び気さくに話しかけてくださったのです。私は昔飼っていたペットの事や、知人が里親をやっていることなど、色々お話しさせていただくと、ご主人はにこにこしながら嬉しそうに、話を聞いてくださいました。

実はこのお宅に訪問する際、駐車場に止めてあった車の中に、いくつもの猫の置物や人形のようなものが見えたので、きっとすごくペット好きな方か、それに関係するお仕事をされているのでは・・・。と思っていたのです。

それからしばらくお話をさせていただいていると、おもむろにご主人が『ちょっと待ってろ』と中に入っていかれ、戻ってこられると『はいっ、来年からならいいぞっ』と何かを手渡されました。それは、ハンコとペットシッターと書かれた名刺でした。『朝日は恨んでいたけど、君気に入ったから、何新聞でも取ってやる!』とご契約をいただくことができたのです。

そして、夜になり、販売店に戻ると、店長から『あのお客さん、どうやって契約したんですか?』と聞かれたので、『何かありましたか』と私が言うと、『監査の電話を入れたら、さっき来た人が気に入ったので、また来たら何新聞でも取ってやるといっていたよ』とのことでした。

私はこのご契約をとおして、どんなお客さまでも、最後まであきらめなければ、どこかに心を開いていただける糸口が必ずあるということ、お客様との共通の興味や、自分自身を知っていただくということの大切さなど、営業マンとして大切ないくつものことを見直すとともに、再確認することができました。

また、何新聞でも取ってやると言っていただき、まさに営業マン冥利に尽きる忘れられない一件のご契約となりました。



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