レジェンドストーリー

STORY.45
2014年上半期レジェンドストーリー銀賞H.J
平成25年3月度 ASA大和東部

その日は、前々日に大雪が降った影響で道路にはまだたくさんの雪が積もっていて、やっと自転車で移動できるかなという状況の日でした。
今日は、大事な締め日です。気持ちも新たに、販売店で地図をもらうと軒並み訪問を開始しました。しかしその日はなかなかご契約を頂くことができず、17時を回った時点でまだ一軒もご契約を頂けていませんでした。
気持ちもあせってきたその時、一件のお宅にさしかかりました。インターフォンを押すと、奥様は「朝日はとれません」「主人が決めていて今日はいません」「何も必要ないです」と取り付く島もありません。私が「厳しいなぁ」と半ばあきらめかけたその時です。ガチャっという音とともにドアが開いた次の瞬間、そこには小さな男の子が立っていたのです。中から奥様の「勝手に開けたらダメ」と言う声が聞こえ、次に「まったくもう。。」というため息交じりのつぶやき声が聞こえてきました。目の前に立つ男の子は、私の姿を見ると大きな声で「お母さん、さっき話した人だよ」といい、奥様は「えっ!」というと玄関先まで出てこられ、今度は一変して「先ほどはありがとうございました」とご丁寧におっしゃいました。私は一瞬「何のことだろう」と思いましたが、もう一度その男の子を見ると、ある出来事を思い出しました。
それは、さかのぼること3時間ほど前のことです。私が住宅街を営業していると、横を自転車を乗った子供が通り過ぎました。「こんな雪道に自転車なんてあぶないなぁ」と思っていたのですが、その子供が十字路を曲がろうとした次の瞬間、雪に滑った自転車は音を立てて転倒してしまいました。子供は自転車の下敷きになり立ち上がろうとしません。私はとっさに駆け寄ると、自転車をどけ、子供を抱き起こし雪を払いながら「大丈夫?怪我はない?」「危ないから自転車は降りて押していったほうがいいよ」というとその男の子は泣きべそをかきながら「うん」とうなずき自転車を押して歩き出しました。
そして私も引き続き営業を開始したのでした。その時の男の子が目の前に立っていたのです。私は、なんと言う偶然なのかと思いながら対面した奥様にもう一度朝日新聞をお勧めしてみました。すると今度は快くご契約を頂くことができたのです。帰りの際、なんとも屈託のない男の子の笑顔が印象的な冬の日の出来事でした。

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