STORY.52

レジェンド

2015年03月07日 09:34

2014年下半期レジェンドストーリー金賞T.T
平成26年12月度 ASA東あきる

その日は、前回結果を出すことが出来ず、悔しい思いをしたエリアということもあり、販売店に向かう車中から絶対リベンジしてやるぞ!と強い気持ちでいました。

販売店に着くと、もうすぐにでも営業を始めたい気持ちだったので、お店の近くの区域を選び、すぐに訪問を開始しました。

とにかく絶対に3件!最低でも3件は契約を取る!!とつぶやきながら、必死に訪問していましたが、なかなか契約をもらうことができず、気がつくと時刻は18時30分になっていました。しかも同じ班のメンバーもまだ誰一人も契約がもらえておらず、気持ちが焦ってきましたが、また前回のように情けない結果でお店に戻れない!絶対にやるぞ!!ともう一度自分に渇を入れて訪問を続けていると古い家並みの中に一軒の新築が建っていました。インターフォンを押すと若い旦那さんがビールを片手に出てきて、いきなり大声で『新聞なんか一生とらねえよ!さっさと帰れ』と怒鳴りつけてきました。あきらめずに僕は新聞の良さを一生懸命説明していましたが、結局契約にはいたらず、しかも時計を見ると19時で、一瞬もうだめかとあきらめそうになりましたが、いや、まだ一時間ある、可能性はある!と夜空を見上げて気持ちを入れ替え、その新築のアパートを訪問しました。インターフォンを押すと勝手にドアが開き、そこには40代ぐらいの女性が笑顔で立っていました。僕は『夜分遅くにすみません、朝日新聞の多田です』と挨拶をしました。するとその女性が『営業も大変ねぇ、新聞取ってないのよ、ごめんね』と優しく声をかけてくれました。どうやら隣の新築で僕が怒鳴られていたのを聞いていたようでついついドアを開けてしまった感じでした僕はその女性の問いかけに『はい、正直大変ですが、やりがいもあります』と正直に今日一日の出来事を話していました。僕は会話の最中玄関にふなっしーのサンダルがあることに気がつき『かわいいサンダルですね、限定品ですか?』とふなっしーのものまねを交えつつ会話をしていると、奥から違う女性が『それ私のなのよ』といいながら、はずかしそうにでて来ました。はじめの女性のお姉さんということでした。そのお姉さんは急に『朝日新聞?わたし好きだよ』と思いもかけない言葉を発しました。僕がビックリした顔をしているとなんとそのお姉さんが『明日から新聞入れていいわよ、6ヶ月だけね』と言ってくれたのです。その時間までゼロだった僕は、あまりの展開に涙が出そうなくらいうれしくなりました。そのお宅で契約をもらえて一気に元気が出てきた僕は、すぐに昼間訪問してご主人に『読売とっているけど母ちゃんがやっているから母ちゃんがいるときに来い』と言われたお宅に再訪しましたが、まだ奥様は帰ってきていませんでした。しかし、だんなさんの出身が僕と同じ九州ということや息子さんが高校球児ということもあり、そこでも6ヶ月の契約をもらえたのです。2件連続で契約をもらえて、時計を見るとお店に戻る時間まであと15分でしたが、朝の絶対3件という決意を思い出し、すぐ近くのアパートに飛び込むと、無我夢中でインターフォンを押しました。すると、返事よりも先に3歳ぐらいの男の子がドアを開けてくれました。そしてその後から『コラコラ、勝手にドアを開けないの』と言いながらお母さんが出てきてくれました。そして、そのお母さんと顔を合わせた瞬間、なぜかどこかで会ったことがあるような不思議な感覚に包まれました。
一瞬の沈黙の後、『あれ、あなたもしかして、前にも来た事あるでしょ?』と奥様がおっしゃいます。その言葉で僕の記憶はよみがえり、すべて詳細に思い出しました。そのお宅はなんと、2年以上前僕が新人1ヶ月目にご契約を頂いたことがあるお宅だったのです。僕が『もしかしてあの時の赤ちゃんがこの子ですか?大きくなりましたねー』というと、奥様は微笑んで、そのあとに『実は今はもう新聞やめたのよ、旦那にも聞かないとダメだし、来年引っ越しちゃうしなー』と言いながら困った表情です。少し考えた後『いいわ、引越しまでの3ヶ月くらいだったらとってあげる、あなた、なんか頑張ってるみたいだし。』とご契約を頂くことができたのです。

結局最後の1時間で3件連続でご契約を頂きましたが、僕が夜空を見上げたとき、営業の神様が夜空から見守ってくれ、背中を押してくれたのかなぁと、不思議な気持ちに包まれながら帰路につきました。