レジェンドストーリー

STORY.65
2016年下半期レジェンドストーリー金賞I.H
対象ストーリー
平成28年 8月度 ASAひばりが丘

その日は、高校野球の月刊チャージと言う冊子をお客様のところにお届けし、朝日新聞をお勧めすると言う営業を行う日でした。
対象件数は10件ちょっと。正直な話、かなり不安がありました。
2週間ほど前、甲子園ブックをお届けした際に朝日新聞をお勧めするというプロジェクトに参加させてもらっていた私は、その同じお客様である可能性は高いよな、、、?しかも甲子園ブックをお届けする際はまだこれから予選が始まる、と言うという空気だから盛り上がっているけど、もう各学校もほぼ負けているしとって頂けるのかな?
でも受けた以上は結果をだす以外に道はないし、、、まぁとにかく気合入れるしかないな!がんばろう!
2件目、3件目、、、7件目、8件目、、、
何件かのご契約を頂くことができ、結果としてはよかったのですが、案の定野球熱はすっかりで、グッズの話をしても何をいまさら?もういいよ終わっちゃったしさ、、、営業なのを予想してドアが開かない家も半分、ご契約いただいた家も、サービス品や必死のお願いで何とかするといった内容でした。
やっぱりな、、、だけどなんとかあと2,3件は契約したいな、、、
そしてあと1、2件というところでその奥さんのお宅に伺いました。
「こんにちは、朝日新聞です。」「あっ新聞いりません」ガチャ。
あれ、、、?いやーもう一回。ピンポーン、、、「何ですか?」「あっあの甲子園ブックでお世話になった朝日新聞です。あの、お知らせがあって伺いました。」
「結構です」ガチャ。 
あ、いや、、、、ええええいもう一回!ピンポーン、、、「何ですか!!」
「あっすみません、あ、あの記念グッズの件だったんですが、、、」
「グッズ?学校を通すやつ?」
私は悩みました。「はい、そうですと言えばドアは開くよな、、、でもな、、、やめよう」「あ、いえ、こちらは学校とは無関係なんですが、朝日のオリジナルでございまして」「本当に無関係なんですね?」「えっ?あ、はい、、、え?」「じゃあちょっと待ってください」
私はわけが分かりません。まぁでもドアが開いたからとりあえず良かった。そして甲子園の主催であることや、記念になると思いを込めて作ったグッズであることなど、一通り説明すると「わかりました、どうすればいいですか?」と奥様はおっしゃいます。「はい、1年とは言いませんので半年だけ朝日新聞お付き合いいただけませんか?」すると奥様は「新聞をとればいいんですね。わかりました」「あ、ありがとうございます」
あれ?アプローチではあんなに新聞いらないと言っていたのに、何でこんなにすんなりとって下さるんだろう?私は恐る恐る聞いてみました。
「実はね、うちの子大会には出てないの。」「実は事故にあってね。」奥さんの目は潤んでいます。「まあ、事故と言っても、、、リンチにあってね、殴られすぎて脳しんとうがひどくて、、、それで大会に出られなかったのよ。まぁ最も、部も部でね、真剣に取り合ってもらえないし。まぁ出場停止になるのも恐れたんでしょうけどね」
そうだったんですか、、、
「父母会なんかも全然やる気が無かったりすることも多くて。かなり温度差が激しいのよ。だから真剣にやってるうちの子なんかはだらだらやってる子たちからみるとうっとうしかったんでしょうね。標的にされたのよ。」
「うちの子、小学校からずっとレギュラーで、、、」
ふと奥さんの視線を追うと、その先には下駄箱、その上には数々のトロフィーや賞状、子供の頃から活躍してきた写真が並んでいます。親子二人三脚でよほど一生懸命やってきたんでしょう。「甲子園に出ることだけがこの子の夢だったの。だからいたたまれなくてね。」「私が悪いの。本当はね、野球の強い私立高校からお呼びがかかっていたのよ。だけど、神奈川県だったから東京にしなさい、東京でも強いところはあるからって、それで今の公立に入れたんだけど、、、それがいけなかったのよ、、、。」「この子ももう、3年生最後の大会だったの。だからね、せめて何か、みんなでお揃いのTシャツとか、ハチマキとか作れないかな、なんて言ってたんだけど、まとまりがないからそれも流れちゃってね、、、」「だからよかったわ。新聞は読まないけどいいわ、半年とって。この記念のTシャツもらえるならありがたいわ、ありがとね」
「お母さん!このタオルもバットもプレゼントさせてください!」
「え?いいわよ、どれかなんでしょ?」
「いいんです、僕に出来ること、そのくらいしかないんで!」
「ほんと?ありがとう。うちの子喜ぶとおもうわ。何より私が嬉しいしね。ありがとう。かならず半年とるわね。よろしくお願いします。」
「あ、ありがとうございます!」

、、、私は猛烈に反省しました。
正直チャージの営業で契約頂けるかどうか。そんなこと考えていました。そして数字のことばかり考え、大切な記念グッズも販促物にしか見えなくなっていた自分を恥じました。
営業の現場における人と人とのつながりはそんなものじゃない、原点はやっぱりお互いの様々な思いが伝わったり共感したりするときに契約になったりするもの。なにかそんな原点を改めて痛感しました。そうだ、だからこの仕事が大好きになったんだよな。何か自分の中に温かいものがこみ上げてきました。

そして何より嬉しいのは、、、息子思いのお母さんの、大切な大切な1つの無念な思いに寄り添うことが出来たこと。なんと価値のあるご契約を担当させてもらえただろう、、、
この仕事に、このプロジェクトに、このご縁に、感謝で一杯になった一件でした。ありがとうございました。


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