レジェンドストーリー

STORY.59
2015年下半期レジェンドストーリー銅賞H.J
平成27年8月度 ASA西国分寺

その日は、あらかじめ朝日新聞のお試し読みをしていただいているお客様を訪問し、ご購読のご案内をする仕事の日でした。

その日は2日目ということもあり、お試し読みのお客さまの未面談の方は残り2件ということもあり、私は、区域につくと軒並み訪問を開始しました。

しかし、まったく成果が上がらずに、とうとう時間は20時を回ってしまったのです。不安がよぎります。

私は、最後にお試し読みの2件だけは訪問しようと、そのお宅に向かうことにしました。そのお宅はオートロックの大きなマンションでした。インターフォンを押すと奥様らしき女性の方から返事が返ってきました。そして『ありがとうございました、新聞を配達していただいて、検討してみたのですが、今回はとれません』と、自分が何かを言う前に、とても丁寧な口調で、しかしはっきりと、断られてしまいました。しかし、私は何とか、『お礼の粗品をお渡しするためにお伺いした』ということを説明し、オートロックを開錠していただくことに成功しました。玄関につくと40歳前後の奥様が出てこられ、ずっと東京新聞を3ヶ月更新で購読しているということ、小学3年生のお子様がいてしつもんドラえもんに興味を示していること、奥様も周りの奥様友達のお話から子供には朝日新聞がいいと聞いていて、今回のお試し読みは楽しみにしていたことなどを、話してくださいました。しかし、ご主人様に新聞は変えたことがないし、値段も高くなるから絶対に変えなくていいと、強烈に反対されてしまったということなのでした。

そこからは、私が何をお話ししても『主人が。。。』と一向に話が前に進まなくなってしまいました。すでに20時30分を過ぎ、時間もなく、その日の上り時間は21時となっていたので、おそらく今日はもうこのお宅が最後の1件になりそうです。しかし、なによりも、子供のためにも朝日新聞をとってみたいという奥様が目の前にいらっしゃるのに、このまま終わってしまうのか。。
私がどうしてもご主人が反対しているからという奥様にどのようにお話をすればいいのか、突破口が見つからず会話が行き詰まりそうになった、その時です。2年位前に及川部長に仕事帰りの居酒屋で話してもらったトークを思い出しました。
しかし、かなりインパクトの強いトークで、野球で言えば大振りです。
一度も使ったことがないうえに、この局面で効果を発揮するのかもわかりません。しかし、ほかに打つ手はなく、私は意を決して、話を始めました。

私は、おもむろに白紙の紙を取り出し、奥様の目の前に出すと、まず横棒を引きました。そして横棒の中央あたりに縦に線を入れながら、
『奥様、今、お子様にはこのように小さなやる気の芽が出ています』
『しかし、このやる気の芽は、お父さんのお子様のことを考えない、新聞を変えたくない、変えると高くなるという思いに、踏みつぶされようとしています』
※と言いながらカタカナの「ナ」のような絵の上に足を書く。
この目を、守ってあげられるのはお母さんだけです。
※と言いながらカタカナの「ナ」のような絵の周りを囲って「母」という字を完成させる。
と絵をかきながらお話ししてみたのです。

すると、しばらくうつむいて何かを考えているご様子だった奥様は、ついに『わかりました、私、頑張ります!』と、とても力強く、そしてどこかすがすがしい表情で、朝日新聞をとることを決意してくれたのです。

続けて奥様は『じゃあとりあえず東京新聞と同じ3ヶ月契約で』とおっしゃいましたので、私が『奥様の決意は3ヶ月くらいのものなんですか』というと、『わかりました』ということで、1年のご契約を無事いただくことができました。

普段使ったことのないトークでも、お客様のために何かを話したいという気持ちで話したからこそ、通じたのだと思いました。たとえ同じトークでも契約欲しさに口先だけで話していたとしたら、また別の結果になっていたのかもしれません。
そして、お客様に寄り添い、ニーズに触れ、適切な提案をすることでお客様にも喜んでいただき販売店にも喜ばれるような内容のご契約をいただくことができるということを実感するとともに、まさにそれこそがセールスマンの存在意義や価値であり、使命なのであるということを、再確認することができた、一件のご契約でした。

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