レジェンドストーリー

STORY.51
2014年下半期レジェンドストーリー銀賞T.T
平成26年10月度 ASA八王子東

その日も販売店を出るといつものように軒並み訪問を開始しました。
訪問を開始して2件目にさしかかった時です。

その家のご主人が庭で木の枝を小さな斧で切っていました。僕は前に造園業の仕事をしていたことがあったので、ご主人に『懐かしい感じがします、僕、こっちにでてくる前に造園の仕事をしていたのですごく懐かしいです』と話しかけました。ご主人は『そうか』と一言つぶやくと、また、黙々と木の枝や葉っぱを細かくしていました。
僕は『その斧すごく切れますね』と斧をほめると『この斧は30年前に四国の有名な職人が作った斧なんだよ、よくわかったな。』とご主人がおっしゃいました。そして思い出したようにご主人は、不思議そうな顔で『ところでお前さんは何してるんだ?』と聞いてきました。僕は『あっ!すいません自己紹介が遅くなりました朝日新聞の多田といいます』といいました。するとご主人は『そうか俺の家は毎日新聞を50年間一度も変えたことがないし変える必要がない』とおっしゃいました。僕は『大丈夫ですよ、今日は皆さんと仲良くなるのが目的ですので』といい、そのあとに『本当は朝日に変えてくれたらめちゃくちゃうれしんですけどね。』と僕が言うと一瞬だけ笑顔を浮かべ、また黙々と作業を始めました。それからもご主人の作業を見ながら色々と世間話をしているとベランダまで木の葉っぱが届いていたのに気がついたのです。僕が『ご主人、あの葉っぱは切らないんですか?』と聞くと、ご主人は『あーあれは切りたいけど切れないから困ってるんだよ。』とおっしゃいました。僕はとっさに『ご主人任せてください、僕は小さいときから木登りが得意なんですよ』と言って上着を脱ぎ、大切な四国の斧をお借りして木に登り、ベランダにかかっている木の枝を素早く切り落としました。するとご主人はすごく喜んで『ありがとう、ありがとう』と何度も言ってくださったのです。
それから僕はさりげなく朝日新聞をお勧めすると、先ほどまではかたくなに口を閉ざしていたご主人が『じゃあ母ちゃんに聞いてみろ』と言ってくれたのです。
僕は家の中にいた奥様に、自己紹介をし朝日新聞をお勧めしてみました。すると奥様は『うちは新聞は一切変えない主義だし、新聞かえると主人に怒られるから絶対ダメよ』と断られてしまいました。僕がやばいと思ったその時です。僕の後ろの方から『新聞なんて大して変わらないんだし、いいんじゃないか』と声がしました。振り返るとそこには、ご主人が作業を中断して玄関口に立っていたのです。僕がびっくりしていると、奥様のほうがさらに驚きと戸惑いを隠しきれない表情で困惑しているご様子です。それもそのはずです、先ほどの話からすると50年間毎日新聞を変えたことがなく、変える理由がないとおっしゃていたご主人です。僕はここぞとばかりに『よろしくおねがいします』とお辞儀をしました。すると奥様はすこしご主人のほうに目を向けた後『まぁ主人がいいというならいいけど、どうすればいいの?変えたことないからわからないのよ』とポツリとつぶやくように、おっしゃってくださいました。

そして僕は、新聞の契約のことなどお話し、無事1月から12ヶ月のご契約をいただくことができたのです。

僕が生まれるよりもずっと前から一度も変えたことのなかった新聞を、変えていただいたことの重みと、暖かさ、お二人の歴史を感じ、なんともいえない心地よい感慨に浸りながら、精一杯の感謝の気持ちとお礼を述べ、そのお宅を後にしました。

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