対象ストーリー
平成22年8月度 ASA経堂
今回は、今思い出しても身の毛がよだつ、ぞっとする話です。
その日、いつものように、軒並み一軒家を訪問していたのですが、18時を回ってもまだ1件も成約できていませんでした。
そんな時、分譲用にきれいに整地された区画に、ぽつんと一件だけ建っている新築を発見しました。僕は「まだこのお宅しか建ってないんだなぁ」と思いながらカメラ付のインターフォンを押すと「はーい」と応答がありました。
しかし、その声の後ろから、なにやら子供さんの声が「わー」とか「きゃー」とか聞こえます。そして、僕はさらに「朝日新聞の上里といいます」といってみましたが、今度はまるっきり反応がありません。ただ、子供の声が「わー」「きゃー」と聞こえるだけです。お母さんが、子供をしかっているときにちょうどきたのかなぁ?でも、それにしても、少し雰囲気が違うなぁ、、と思いながら、再度インターフォンに向かって「こんばんはー」と話しかけてみましたが、一向に応答がありません。「これはきっと、何かタイミングが悪かったな」と思い、そのお宅を離れようとした、その瞬間、勢いよくドアが開き、必死の形相の奥様が「クモがぁー」と叫びながら出てきました。僕は一瞬で状況を把握すると、「分かりました、僕に任せてください、クモはどこですか」と訪ねると、早速クモのところに案内されました。僕と対面したそのクモは、悪びれる様子もなく、よそ者でも見るかのようにこちらをじっと見ています。僕はその瞬間、任せてくださいといった事を後悔していました。なぜなら、そのクモは足まで含めると大人の手の平くらいの大きさなのです。そして、その背中にはなんとも毒々しいあの模様が、、、僕は、顔から血の気が引くのを感じ、後ずさりをしましたが、「任せてください」といってしまった手前、後には引けません。しかも子供達の視線を背中にいたいほど感じます。僕は「えーい、一か八か」と心を奮い立たせて、素早く逃げ回るクモを追いかけ、素手でつかみ、ついに玄関の外に放り出しました。その感触は、今でも忘れる事ができないくらいおぞましいものでした。そして、「これで安心ですね」といいながら、もともとの訪問の理由を告げ、朝日新聞をお勧めしてみると、「夫が日経新聞を取っているけれど、忙しくて全く読んでいないし、朝日ならチラシも入るからとってあげる」とあっさり6ヶ月間のご契約をいただく事ができました。
心を奮い立たせてよかったです。